カラーイラストを普段から描いている方、
あるいはこれから描いてみたい方にとって
色塗りの工程はとても重要ですよね
配色や塗り方など、悩むポイントはたくさんあるかと思いますが
「はみださずに塗る」というのも神経を使う部分かと思います
今回の記事では、そんな時にとても便利な
クリスタの「下のレイヤーでクリッピング」という
機能をご紹介していきたいと思います
この機能を使うことで、狙った範囲内で
はみ出しを気にすることなく、のびのびと
色塗りすることが可能になります!
様々な場面で欠かせない機能になりますので
自分の使いたいシーンを思い浮かべながらご覧ください!
それでは、どうぞ!
「下のレイヤーでクリッピング」とは
クリッピングという機能は、特定の範囲から
はみ出さずに描画することができる機能のことです
それを踏まえて、クリスタの
「下のレイヤーでクリッピング」という機能を見ていきましょう
例えば、レイヤー1に図のような赤で塗りつぶされた
丸が描かれているとします
![赤丸](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/1-1.png)
そのレイヤー1のすぐ上に
新規ラスターレイヤー「レイヤー2」を作成し、
わざと赤丸からはみ出すように線などを描画します
![赤丸からはみ出す線](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/2-1.png)
その状態のまま、レイヤーパレットから
「下のレイヤーでクリッピング」のアイコンをクリックします
![下のレイヤーでクリッピング](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/3-1.png)
すると、レイヤー2の左横に赤い縦線が入り、
赤丸からはみ出した範囲の描画は非表示になりました
![](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/4-1.png)
このように、すぐ下にあるレイヤーに何か描かれている場合、
その範囲のみ現在のレイヤーで表示することができる機能を
クリッピングといいます
この機能を使うことで、実際にははみ出して描画しても
はみ出した範囲が非表示になるので、
はみ出しを気にせずに色塗りができる、というわけです
クリッピングの適用と解除
クリッピングの適用の仕方は上記の通り、
レイヤーパレットからアイコンをクリックします
もし解除したい場合は再度同じアイコンをクリックします
![クリッピングの解除](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/5-1.png)
クリッピングの使い方
それでは、具体的にクリッピングが
どのような場面で役に立つか見ていきましょう
影やハイライト
まずはキャラクターの影やハイライトを入れる場合です
下地を塗ったラスターレイヤーのすぐ上に
影用のラスターレイヤーを用意し、
「下のレイヤーでクリッピング」します
![髪に影を付ける](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/6-1.png)
この状態でエアブラシなどで影やハイライトを
入れたい部分に色を入れていきます
![髪からはみ出さない](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/7-1.png)
![帽子にハイライト](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/7-2.png)
これで下塗りの範囲からはみ出さずに塗ることができます
塗りつぶしによる色変更
また、色塗りをする際、イメージが確定せず、
色を何色か比較してみたい場合にもクリッピングは有効です
最初の候補の色塗りをしたレイヤーのすぐ上にレイヤーを作成し
「下のレイヤーでクリッピング」します
![色の比較](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/8-1.png)
比較したい色をカラーパレットから選択した上で
編集>塗りつぶしをクリックします
![編集から塗りつぶし](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/9-1.png)
するとレイヤー全体が比較したい色で塗りつぶされますが
クリッピングしてあることで
見た目には色を塗り替えたように見えます
![クリッピングして塗りつぶし](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/10-1.png)
レイヤーの表示・非表示で比較ができるようになります
![レイヤーの表示・非表示](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/11-1.png)
線画の色を変える色トレス
線画をベクターレイヤーで描く方は多いと思いますが、
ベクターレイヤーの特徴として
「塗りができない」というものがあります
そのため、ベクターレイヤーで描いた線画の色を変える際に
クリッピングを使う方法があります
線画を描いたレイヤーのすぐ上にラスターレイヤーを作成し
「下のレイヤーでクリッピング」します
![線画にクリッピング](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/12-1.png)
その状態で、塗りたい色を選択し、
線画の上をペンやブラシなどを使ってなぞっていきます
![線画をなぞる](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/13-1.png)
これで簡単に線画の色を変え、イラストの雰囲気を変えることができます
自然現象の表現
こちらは、漫画などでも使える表現です
例えばグラデーションなどで空を描画したとします
![空のグラデーション](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/14-1.png)
その空の範囲内にしぼって星や雨・雲などを描きたい場合に、
空のグラデーションのすぐ上にラスターレイヤーを作成し、
「下のレイヤーでクリッピング」します
![星用のレイヤーを追加](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/15-1.png)
そのレイヤーに星などを描画すれば空の範囲内に収まります
![白で星を描く](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/16-1.png)
フキダシ
こちらも漫画で使える面白い表現です
フキダシレイヤーのすぐ上にテキストレイヤーを配置し
「下のレイヤーでクリッピング」します
![フキダシにクリッピング](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/17-1.png)
すると、フキダシの範囲内に文字が収まり、
はみ出した部分は非表示にすることができます
![テキストがクリッピング](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/18-1.png)
クリッピングを二重にかける
通常、クリッピングをしたレイヤーの上に
ラスターレイヤー追加しクリッピングしても
クリッピングの範囲は変わりません
あくまでも大元のクリッピング先のレイヤーの範囲内で
さらに他の描画をしたい場合に使えるだけです
![同じレイヤーにクリッピング](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/19-1.png)
しかし、場合によっては、
クリッピングした範囲内でさらにクリッピングしたい、
つまりクリッピングを二重にかけたい場合があるかと思います
![クリッピングを2重に](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/20-1.png)
その場合は、第1段階のクリッピングとして、
フォルダを使用し、フォルダ自体にクリッピングをかけます
そのフォルダ内で第2段階のクリッピングを行います
![フォルダを使ったクリッピング](https://clipstudio-comic.com/wp-content/uploads/2023/11/21-1.png)
まとめ
いかがでしたでしょうか
なかなか最初は分かりにくいかもしれませんが、
クリッピングはイラスト・漫画ともに必ず押さえておきたい
とても重要な機能の1つです
以前の記事では、この機能を使って
グラデーションをかける方法も紹介していますので
ぜひそちらもあわせてご覧くださいね!